妄想乙女の恋事情
アタシはとにかく屋上に走って向かった。
『あと5秒~、4~3~…』
ひゃ~!!!
アタシの恥ずかしい話って…。
心当たりがありすぎる!!
バレたらもう最悪だよ~!!(クラスにはバレてるけど)
「はあ…はあ…」
『セーフだな。じゃあ今から行きます~』
そういって放送は途切れた。
って、まだ自分来てなかったんかい。
てか、なんでアタシが来たのわかったの?
「よお~唯」
「もうっ!強引ですよ!」
アタシはプンスカ怒る。
「い~のかな~?お前、コレ探してたんじゃないの~?」
そういって亘理聖夜は手に何かを持ってふらふらさせている。
…ん?
「あ!アタシの弁当!奪ったの?!」
「馬鹿。奪ったんですか?だろ。つーかお前がチャイム鳴らす時に落としたんだぞ」
え…。
もしかしてアタシ…。
押すとき持ってた弁当離したの?
「そうしか考えられん」
…また見透かされた。
「てかてか!何でアタシが来たことわかったんですか?!」
「ん?だってあそこ放送室だし」
亘理聖夜が指差した方向は2階の端っこ。
ちょうど屋上の入り口が見える場所だ。
「あそこからずっと待ってたの♪お弁当を取りにくる唯を」
亘理聖夜がニカッと笑う。
う…かっこいい。
そういやこの人、性格最悪だけど容姿だけは最高だもんな…。
「おい、顔にでてんぞ。容姿も性格も最悪女」
っはあああ?!
「容姿は…まああれだけどっ!性格だけは亘理聖夜には言われたくない!」
「はあ?誰に向かって言ってんの?つーかフルネームとかキモっ!」
コイツ…。
最初から最後までムカつく!
「亘理!」
「馬鹿。聖夜でいいよ」
そう言って、聖夜はこっちに手を伸ばしてきた。
「せ…聖夜」
「先輩をつけような~♪後輩」
その伸びてきた手で頬を引っ張られた。
「いはいいはい!」
「俺、宇宙人語わかんないんだよね~」
「やへろ~!」
そう言って、聖夜…先輩の腹にチョップ!
「痛ぇ!みぞにはいったじゃねぇか…」
「うっさいバーカ!」
アタシは黙って弁当を食べ始めた。
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