シュークリーム
「もし夢だったとしても、この夢は覚めないから大丈夫だけど」


サラリと零された言葉にキュンと鳴った胸が、陽溜まりみたいに温かくなっていく。


「もう……。泣かせないでよ……」


涙混じりに呟くと、村上君が笑った。


「これからは泣かさねぇよ」


他人から見れば有り触れた陳腐な戯言でも、私にとっては極上に幸せな台詞になる。


そんなことを考えながら笑みを零した私は、優しく抱き締めてくれている村上君に応えるように、彼の背中にそっと腕を回した──。

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