シュークリーム
「森?」


どこからか走って来たらしい村上君は、立ち上がれなくなっていた私の顔を覗き込んだ。


「どうした?」


「村上、君……?」


「大丈夫か? 立てるか?」


ぼんやりとした頭を必死に働かせようとしても、頷くことだけで精一杯で言葉が出て来ない。


「お前、今日はもう上がれ……。送ってやるから」


「で、でも、まだ仕事が……」


「いいから。とにかく俺と一緒に帰るぞ」


半ば強引に決めた村上君は、一旦オフィスに戻って私の荷物を取って来てくれた。


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