シュークリーム
タイピング音や電話のコール音が響く、慌ただしいフロア。


終業時間前になると、それまでに増してみんなが仕事に集中する。


「ふぅ〜……」


ため息をついてパソコンの電源を切った私は、正面のデスクに視線を遣った。


端正な顔立ちで書類に目を通す、同僚の彼。


眼鏡の奥に潜む真剣な瞳に、胸がトクンと高鳴った時──。


「……や、沙耶(さや)!」


名前を呼ばれていることに気付いて慌てて右を向くと、同僚の中内久美(なかうちくみ)がニンマリと笑っていた。


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