シュークリーム
切なくて堪らない夢なのに、このまま覚めないで欲しいと思う。


「傍にいて欲しいの……」


そんなことばかり繰り返しながらも、私は夢の中でも『好き』って言葉だけは口に出来なくて……。


胸の奥が締め付けられて、涙が零れ落ちた。


夢なのに、頬に感じる涙の感覚がやけにリアルで、切なさが増す。


こんなにも苦しいのに、どうしたって褪せることのない想い。


だからせめて、今だけはこの手に感じる温もりを離したくない……。


そう思うと、さらに涙が止まらなくなった。


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