友情恋人ゲーム〜デス・ミッション〜(仮)
ほっとしかけた、その時。
「ケタケタケタケタケタ…」
奇妙な笑い声が聞こえてきた。全員が声が聞こえた方へ振り返る。
「見〜ツケタァ…」
奇妙な声の正体…
"そいつ"は、教室の後ろの扉から入ろうとしていた。
上半身は、赤と白の太いストライプ模様で、体の線に沿っているデザイン。胸の辺りに大きい金色のボタンが二つついている。肩部分は異様なほど盛り上がっていて、二の腕からは上半身同様、ぴったりしているデザインだった。
下半身は明るい赤色のかなり大きめのカボチャパンツ。
白と黒の横縞のタイツに、これまた赤色を基調とした、ショートブーツを履いている。
手元は白い手袋をしているので、肌が見えている部分は全くない。
かなり変わった格好。
普通じゃ見かけないような。
そして顔は、全体が白く、目の周りは濃い藍色、鼻と口周りは赤く塗られていた。
頭は、オレンジ色のアフロが、白地にカラフルな星がたくさん描かれている、サンタクロースのような形の帽子から覗かせていた。
顔だけ見ると、人間が特殊メイクをしただけにも思えるが、全体を見ると、小太りで3頭身くらいしかない。
というか、まず笑い方から人間じゃない。
人間ではないことは確かだ。
被り物?ロボット?
とりあえず、その見慣れない奇妙な姿から、こいつが主催者の言う"ピエロ"だとすぐに気付いた。
「ケタケタケタケタ…見ィツケタアァァァア!!!」
ニタニタとしながら、ピエロは10人のいる教室の窓際に、すごい勢いで迫ってきた。
獲物を見つけた、肉食獣のように。