友情恋人ゲーム〜デス・ミッション〜(仮)

「いや…いや!拓ちゃん!」


桃香を助けるために自分が犠牲になる…
そう決断した拓海を目の前に、桃香が普通の状態でいられるはずがない。


桃香は、拓海に抱き着きながら説得した。

「拓ちゃんっ!分かってるの…?桃香を殺さなかったら…!拓ちゃんがっ!」

拓海は、桃香を落ち着かせるために、桃香の頭を撫でた。

それでも落ち着かず、

「拓ちゃんっ…拓ちゃんが死ぬなんていや!…お願い…桃香を殺してっ!!」
と、泣きながら懇願した。

しかし拓海は、いつもと何一つ変わらない様子だ。

眉を下げ、口元は笑いながら、まるで泣いている小さな子をあやすように、桃香の頭に置いた手をポンポン、とやった。

「あのなー、こんなゲーム、本当なわけないだろ。大丈夫だよ。本当に殺されたりなんかしないって!」


拓海はそう言ったけれど、桃香は納得していないようだった。


「そんなの分かんないじゃない!あの気味悪いピエロ見たでしょ!?もし…もし…」

冗談なんかじゃなく、本当に殺されてしまったらどうするの?



中々泣き止まない桃香に、拓海は少し困っていた。

そんな拓海を察してか、さくらが桃香に言った。

「桃香はこんなゲーム、本当にあると思うの?」

真一も、それに答えるように言った。

「オレは信じられない。こんなゲーム、ありえるか?」

由美と大輝も、桃香を落ち着かせようとそれに続いた。

「ウチもありえへんと思う。こんなイキナリって、普通ある?」
「俺も思った。何か、現実離れしすぎっていうか…ぶっ飛びすぎ!」


皆信じていない様子で、信じて焦っている自分が馬鹿らしくなったのか、桃香は涙を拭った。

「そっか…そっかぁ…そうだよね!」


納得したのか、いつもの桃香に戻った。




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