【短編】5回目のキス

――ブーン


哀しく響く原チャのマフラー音。



今、来た道を帰ってる最中。

行きみたいに軽快な音じゃなく、重くノロノロスピードで帰宅中。



圭矢がお風呂に入り暫くしたら、携帯が鳴り響いた。

マネージャーさんからの呼び出し。

降板が出たドラマの主演が決まったらしい。



次のドラマの脚本家は、凄く有名な人。



ヒット間違いなしだって……携帯から興奮したマネージャーさんの声が漏れてたくらいだった。


事務所的にも、今回のドラマ当たってるから、次回作で一気に……って感じなんだろうな。



でも、もっと……会えなくなっちゃうね。



原チャを止め、重い足取りで家へと入った。



いつもの1番電波の良い場所に携帯を置く。

ふぅっと溜息をつきながら座ろうとしたら友達からの着歌が鳴った。



「もしもし?」

《あっ雫? あれ来たよー》


……はい?(笑)




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