【短編】5回目のキス



「あはっ、強いね……雫」



あ……いつもの圭矢だ。

肩に力が入ってた私は、笑いながら抜けてしまった。



「じゃあ、2人で居る時は、ただの雫の彼氏だからね?」

「え……」



そう言って重なる唇。

触れるだけのキスを交わし、少しだけ離れた。


真っ赤になった顔を見て『可愛い』だなんて
そんな事、言わないでよ。

もっと、赤くなっちゃうよ。



「ねぇ、雫。“好き”って言って?」

「えっ?!」



子犬みたいな顔で言われて、目を逸らしてしまった。

だって、可愛くて、かっこよくて……どうしていいかわからなかったんだもん。



「駄目?」



駄目……なんかじゃない!


だけど……。


何度も何度も、絡んだ視線をまた逸らしてしまう。


少し膨れて真っ赤な顔で、

「……大好き」

って呟いた。



凄く嬉しそうな顔をして『俺も』って交わした4回目のキスは、強引で……熱くなった。




< 26 / 55 >

この作品をシェア

pagetop