【短編】5回目のキス
「あはっ、強いね……雫」
あ……いつもの圭矢だ。
肩に力が入ってた私は、笑いながら抜けてしまった。
「じゃあ、2人で居る時は、ただの雫の彼氏だからね?」
「え……」
そう言って重なる唇。
触れるだけのキスを交わし、少しだけ離れた。
真っ赤になった顔を見て『可愛い』だなんて
そんな事、言わないでよ。
もっと、赤くなっちゃうよ。
「ねぇ、雫。“好き”って言って?」
「えっ?!」
子犬みたいな顔で言われて、目を逸らしてしまった。
だって、可愛くて、かっこよくて……どうしていいかわからなかったんだもん。
「駄目?」
駄目……なんかじゃない!
だけど……。
何度も何度も、絡んだ視線をまた逸らしてしまう。
少し膨れて真っ赤な顔で、
「……大好き」
って呟いた。
凄く嬉しそうな顔をして『俺も』って交わした4回目のキスは、強引で……熱くなった。