【短編】5回目のキス
-KEISHI-
「圭矢君、視線こっちにちょうだい! そうそうっ」
カシャカシャときられるシャッター音。
新CMのポスターの撮影。
俺は圭矢(ケイシ)
人生とは不思議なもんだ。
まさか自分が芸能界に入るなんて思ってもなかった。
気付いた時には、雑誌に載ってて、モデル事務所からの連絡。
勝手に雑誌の特集に応募されてたらしく、友達から、
『お前載ってるよ?』
なんて見せられ驚いた。
そして進められて始めたモデルの仕事。
何故か決まったテレビの仕事。
グループとしての歌手デヒュー。
この一年、本当にあっという間だった。
ついていけない頭ん中と、ついていかなきゃならない体。
――心と体が別
ってこういう事?
自分の事なのに他人事のように考えてしまうのが癖になったみたい。