【短編】5回目のキス
一目惚れだとか言って告白され、断っても断っても、毎朝待ってる雫が正直迷惑だった。
でも、いつも必死でさ?
俺の一言一言に表情をコロコロ変えて。
迷惑じゃなく、面白い女の子って想い始めたのはいつからだったかな?
そして、その想いが恋に変わったのは、いつだったんだろう?
卒業間近になった時。
また告白してきた雫。
まだ自分の気持ちがハッキリわからなくて悩む俺に駅のホームで飛び掛かって来た。
そのまま押し倒された上に乗り掛かられ、
目には溢れそうな位の涙を溜めてて。
大胆な事をしてるのに
『本当に……好き』
なんて恥ずかしそうに言うから。
つい『負けたよ』なんて言葉が出てしまったんだ。
でも、あれだけ積極的だった雫に、少しずつ感じる距離。
電話もメールも用事がない時以外は、ほとんどくれないし。
だから、こうして呼び出す時は、断られるんじゃないかって恐くなる。
俺が連絡しなきゃ終わってしまうんだろうなって。
忙しくて中々会えない。
電話だって出来ない。
俺が芸能人だから、別れないだけで他に好きな人がいるんじゃないかって思うんだ。