【短編】5回目のキス
キスした後に気付いた雫の唇。
多分、今までがいっぱいいっぱいで気付かなかっただけなんだろうけど。
「あ……このグロス?」
「え? あぁ、うん。圭矢から貰ったのだよ♪」
やっぱり。
このグロスを試した人達が言ってた。
『落ちにくくていい』
って。
これだけキスをしても、取れないんだから。
女の子達に大ヒットするのもわかるかも。
薄いピンクのグロスは雫によく似合ってて、思わず、
「やっぱ、雫にはこの色が正解だったよね」
なんて、にっこり笑ってしまったんだ。
キョトンとした顔で俺を見つめてるのに気付いたけど、
どうしたのかな?
それくらいにしか思ってなかった俺に、言われた言葉で焦った。
「え? これ余ったから貰ったんじゃないの?」
「え?! あ……」
顔が赤くなったのが自分でもわかった。