【短編】5回目のキス



「圭矢が選んで……」

「うるさいよ、雫」



もうそれ以上、言わないでよ。


自分でも今のは失敗したってわかってるんだから。
男心がわかってないよ、雫?



真っ赤な顔を見られたくなくて、唇を塞いだ。


一瞬見せた喜びの顔が、あまりにも可愛くて。
グロスを塗った雫の唇が可愛くて。

絡めた舌。

必死に俺に合わせ、甘い声を出す。





そんな声出すから、中々離せなかったんだ。

俺をもっと感じて欲しくて。
もっと雫を感じたくて。



5回もキスをしたのに、覚えてるキスなんて全然ないんだ。



全てが愛しくて、可愛くて。

どうしても離したくなくて。





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