【短編】5回目のキス
やっと離した雫の唇。
少し乱れた息遣い。
そして、潤んだ瞳で、
「圭矢って……キス魔だったんだね」
なんて言わないでくれる?
雫って、結構ズバズバ言うんだ。
言わないで、聞かないで欲しい事もあるんだから。
今度は、俺が少し膨れて、
「今まで我慢してたからいいのっ」
って言ったら『我慢してたの? 見えなかったー』って。
どんな風に見てたの?
本当、雫には参るよ。
そんな事を思ってる俺の背中に急に手をまわし、ギュッと抱きついてきた雫に思わず慌ててしまった。
「わっ! しっ、雫? どうしたの?」
「んー? こうしたいなって思って」
俺の胸に顔を埋めながら言うけど。
『こうしたいな』ってサラッと言われても困るよー!
俺の手は雫を抱きしめれないままだし。
こんな事をされたら、どうしたらいいのかわからない。