【短編】5回目のキス
「……けいっ」
どれくらいしてたんだろう?
少し漏れた雫の言葉に我に返った。
慌てて引き離した体。
「ごめっ……」
荒い息遣いと少し揺れる肩。
そして頬を膨らまし、まだ残る苦しそうな表情で俺を見上げた。
「圭矢ってば……本当にキス魔」
フッと笑った顔を見て、目線を逸らす。
チラッと見た雫は、凄く笑顔で『何か恥ずかしいよー』を繰り返していた。
俺の方が恥ずかしいよ?
今だって、どうしていいかわからないし。
立ちっ放しだしね?
ちょうどいいタイミングで鳴り響いた洗濯機のピーピーピーって音。
「あ、洗濯終わったんだー」
そう言いながら走って行った雫の背中を見て、少し安心した。
このままだったら。
何か言われたら。
また同じ事を繰り返しそうだからさ。
そのままベットへ向かい倒れ込んだ俺。