【短編】5回目のキス
部屋の前でチャイムを鳴らし、髪を整えて待つと、少し眠そうな圭矢が出て来た。
「早……」
「えっ? そっそう?」
確かに原チャ……かなりスピード飛ばしてきたんだけどね?
少しでも早く会いたくて。
少しでも長く一緒に居たくて。
中へ入り、歩きながら……拾って行く脱がれたままの服達。
「圭矢ー、せめて一箇所で服脱ぎなよー」
家に入り、歩きながら服を脱ぐのは圭矢の癖。
こんな事を言いながらも当たり前かのように拾っちゃう私は、多分自分で自分に酔ってる(笑)
“やっぱり私が居なきゃ駄目なんだから”ってね。
「雫が拾ってくれるでしょ?」
なーんて悪戯な笑顔を向けられ……はい、その通りですっ!
あぁ、この笑顔を生で、しかも私だけに見せてくれるだなんて!
私って、すっごく幸せ!
さっきの笑顔の余韻に浸る私の耳に届く、気持ちの良い寝息。
あ……余韻に浸ってる間に寝ちゃてるよ。
この気持ちの良い寝息の時は、絶対起きないんだもん。
仕方ないな、先に洗濯でもしちゃうか。
圭矢と付き合い始めてから、洗濯も掃除も上手に……てか出来る様になった。
今までは、全部お母さん任せで何もしなかったのに。
恋って凄いなぁー……って思ってしまう。