届かなくてもあなたが好き
「じゃあ、りっちゃん」
「うん。早く行かないとね」
戻ってくると同時にあたしが言うと、りっちゃんも頷いた。
電車を乗り継いで到着したイベント会場。
すでにたくさんの人が、入場を待っている。
見事に女の子ばかりだ。
「あちゃー、出遅れちゃったか?」
りっちゃんが顔をしかめる。
そんな…あたしたち随分早く出てきたのに。
控え室には行きたい。
花束も、苦労して考えた手紙も持ってきたんだもん。
なんとしても、純君の近くに行きたい!
だけど…あたしは笑う。
「いいよ、りっちゃん。イベントには参加できるんだよ、遠くからは見られるんだし、控え室までは行けなくてもいいよ」
「何言ってんのよ、あんたに付き合うために、あたし今日何時に起きたと思ってんの!?」
「ご…ごめんなさい…」
キッと睨まれ、小さく謝った。