届かなくてもあなたが好き
係員みたいな人が、会場前でざわつくあたしたちを一列に並べさせ、整理券を配り始めた。
整理券の番号で決まる。
純君の控え室に行けるかどうかが…。
りっちゃんは、あたしに気をきかせてくれ、あたしの後ろに並んだ。
「はい」
「ありがとうございます」
2つに折りたたまれた整理券が手渡される。
「じゃあ、せーので開けるよ」
「う、うん!」
りっちゃんの「せーの!」という声に合わせて、整理券を開いた。
記されている数字に、あたしは顔を歪ませて喜んだ。
「ご…50番…」
「あたしは51番」
ひらひらとりっちゃんが整理券を見せる。
確かに“51番”と書かれている。
自分の整理券にもう一度目をうつす。
“50番”──。
「間近で会えるんだよ、橋田純に!」
「うん…やった。やったよ、りっちゃん!」
抱きついて喜ぶあたしの頭を、りっちゃんは優しく撫でてくれた。
りっちゃんより後ろにいる子たちが、うらめしそうにあたしを見たけどそんなの気にしなかった。