届かなくてもあなたが好き
翌日。
学校がお昼までだったのをいいことに、あたしとりっちゃんは近くのショッピングモールへと繰り出した。
「ねぇねぇ、りっちゃん。
デニムのほうがいいと思う?それとも、やっぱスカート?」
可愛いブティックに足を踏み入れ、ワンピースを眺めながら隣にいるりっちゃんに声をかける。
だけど、なかなか返事が帰ってこない。
「りっちゃんってばぁ、聞いてる?……って、あれ?」
ワンピースから目を離して隣を見ると、りっちゃんはそこにはいなかった。
「あれ、りっちゃん?」
「きゃー!コレ、超可愛い!!」
店の奥から聞きなれた声がする。
りっちゃんは、いつの間にかあたしよりも先に様々な服を見つけては、自分にあてて鏡でチェックしていた。
もう!あたしの買い物に付き合ってくれるんじゃなかったの?
「りっちゃん!」と呼び掛けると、彼女はようやく気付き、舌を出しながら「ごめん」と謝った。