your voice


私には“彼氏がほしい”という感情がイマイチ分からない。
いや 人を好きになったことはある。その人と付き合えば楽しいだろう、と考えたこともある。ただむやみに彼氏がほしいと思ったことは一度もなかった。
好きでもない人と付き合って楽しいのだろうか。

別に彼氏がいなくたって今こうして楽しく生きているのは事実だ。

そんなことを考えているともう教室の前だった。


教室に着き、席に着く。
するとたくさんの友達が私の席に群がる。
これでいいじゃん、青春じゃん。
彼氏がいなくとも楽しいのだ。



「おはよ!ねぇ燐聞いた!?今日の4限自習だって〜♪」


友達の一人が言った。

「うっほマジで?っしゃ!寝るべ!」



そういうと友達は、えー!!と笑い混じりに叫んだ。

「話そうよ!久しぶりにのろけ話したいしさあー!」
「えぇー由衣うらやましー!彼氏さんとラブラブなんだあ!」
「まあねぃっ」
「じゃ、四限は恋バナだね!」




そんなこんなで私の喋る隙もなく決まった四限のお喋りのテーマ。こうして寝るという選択肢は消えていったのでした。


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