エルタニン伝奇
「サダルメリク、安心するのはまだ早い」
サダルスウドの言葉に振り向けば、サダクビアの屍が、淡い光を放っている。
降りかけられたサファイアと守り石で、浄化しているのだ。
光は徐々に強くなる。
それにつれて、辺りの様子もよく見えるようになってきた。
「王はご無事だ。・・・・・・一応は」
背を向けたまま言うサダルスウドに、メリクの思考が止まった。
ゆっくりと、サダルスウドの言葉を反芻する。
---一応・・・・・・---
メリクは弾かれるように、再びコアトルに向かった。
コアトルの周りを一周し、ラスを捜す。
「お兄様!」
叫びながら、コアトルの背に飛び乗ったメリクは、次の瞬間息を呑んだ。
辺りが明るくなって初めてわかったのだが、コアトルの身体は真っ赤だった。
その赤い海の中に、同じく全身真っ赤に染まった男が倒れている。
メリクは息をするのも忘れて、倒れる男---ラスに駆け寄った。
が、元々蛇体の上である。
ただでさえつるりとしている上に、夥しい血で濡れている。
あっという間に足を滑らせ、メリクはコアトルから滑り落ちた。
サダルスウドの言葉に振り向けば、サダクビアの屍が、淡い光を放っている。
降りかけられたサファイアと守り石で、浄化しているのだ。
光は徐々に強くなる。
それにつれて、辺りの様子もよく見えるようになってきた。
「王はご無事だ。・・・・・・一応は」
背を向けたまま言うサダルスウドに、メリクの思考が止まった。
ゆっくりと、サダルスウドの言葉を反芻する。
---一応・・・・・・---
メリクは弾かれるように、再びコアトルに向かった。
コアトルの周りを一周し、ラスを捜す。
「お兄様!」
叫びながら、コアトルの背に飛び乗ったメリクは、次の瞬間息を呑んだ。
辺りが明るくなって初めてわかったのだが、コアトルの身体は真っ赤だった。
その赤い海の中に、同じく全身真っ赤に染まった男が倒れている。
メリクは息をするのも忘れて、倒れる男---ラスに駆け寄った。
が、元々蛇体の上である。
ただでさえつるりとしている上に、夥しい血で濡れている。
あっという間に足を滑らせ、メリクはコアトルから滑り落ちた。