エルタニン伝奇
「うう・・・・・・」
すぐに起き上がり、再度コアトルに取り付く。
血にまみれたコアトルをよじ登っているため、メリクの身体も血に染まる。
必死によじ登るメリクの背を、コアトルが頭でぐい、と押した。
コアトルに支えられ、やっとメリクはラスの近くに登りついた。
まるで前方から刃物が飛んできたように、ラスの全身は無惨に切り刻まれている。
長かった髪も、首の後ろで切り落とされ、すっかり短くなっている。
メリクは震える手で、ラスの顔にかかる前髪を払った。
「お、お兄様・・・・・・」
メリクが触れても、ラスはぴくりともしない。
ぽたりとメリクの涙が、ラスの頬に落ちた。
「生きてはいるが、その状態じゃ。果たして目を覚まされるかも怪しい」
サダルスウドの言葉に、メリクはいきなり乱暴に、ラスを揺さぶった。
「ラス様! お兄様! 起きてください!! あなたはエルタニンの王でしょう!」
泣きながら訴えるメリクに、サダルスウドは痛ましげな目を向ける。
そして、己の足元で発光を続ける塊に視線を落とした。
「宝剣が折れ、守り石が砕けた。相当な力じゃな。トゥバンの加護なくして、サダクビア様は倒せなかったであろう」
「でも! お兄様は瀕死ではありませんか! 加護がありながら、このような重傷を負うというのですか!」
口の傍に手をやっても、息は感じられない。
脈を取って初めて、生きているとかろうじてわかる程度だ。
すぐに起き上がり、再度コアトルに取り付く。
血にまみれたコアトルをよじ登っているため、メリクの身体も血に染まる。
必死によじ登るメリクの背を、コアトルが頭でぐい、と押した。
コアトルに支えられ、やっとメリクはラスの近くに登りついた。
まるで前方から刃物が飛んできたように、ラスの全身は無惨に切り刻まれている。
長かった髪も、首の後ろで切り落とされ、すっかり短くなっている。
メリクは震える手で、ラスの顔にかかる前髪を払った。
「お、お兄様・・・・・・」
メリクが触れても、ラスはぴくりともしない。
ぽたりとメリクの涙が、ラスの頬に落ちた。
「生きてはいるが、その状態じゃ。果たして目を覚まされるかも怪しい」
サダルスウドの言葉に、メリクはいきなり乱暴に、ラスを揺さぶった。
「ラス様! お兄様! 起きてください!! あなたはエルタニンの王でしょう!」
泣きながら訴えるメリクに、サダルスウドは痛ましげな目を向ける。
そして、己の足元で発光を続ける塊に視線を落とした。
「宝剣が折れ、守り石が砕けた。相当な力じゃな。トゥバンの加護なくして、サダクビア様は倒せなかったであろう」
「でも! お兄様は瀕死ではありませんか! 加護がありながら、このような重傷を負うというのですか!」
口の傍に手をやっても、息は感じられない。
脈を取って初めて、生きているとかろうじてわかる程度だ。