エルタニン伝奇
「止まれ!」
アンドレイの声が響き、僅かに見えていた周りの兵が、空中で静止した。
白い視界の中から、一騎がラスに近づいてくる。
それより早く、近くにいた近衛隊長が、ラスの傍らにヴォルキーをつける。
近づいてきたのは、アンドレイだった。
「王。この吹雪では、さすがにこれ以上進むわけには参りませぬ。ここは一旦、地に降りて・・・・・・」
上空なので、チーリェフに乗ったままラスに提案していたアンドレイが、突然はっとしたように振り返る。
ほぼ同時に、遠くで悲鳴のようなものが聞こえた。
「何だ? おい! 副長! 何があった?」
アンドレイが叫ぶ。
ややあって、吹雪の中から平隊士が、ヴォルキーを飛ばしてやってきた。
「隊長! 兵が! 兵が潜んでいたようです! 副長がやられました!」
「何だと?」
アンドレイが平隊士を押しのけ、首を伸ばして先を見ようと身を乗り出す。
猛烈な吹雪のため、視界ははっきりしないが、確かに先から剣戟の音がする。
「くっ! どこの兵だ? ただの探索隊を襲うなど・・・・・・」
言いながらアンドレイは、はっとしたように口をつぐんだ。
腰の剣にかけた手に、力が入る。
「・・・・・・ガストン様か・・・・・・! くそっ。此度のことは、すでに皇帝陛下に知れておるというに。捨て鉢な・・・・・・」
悔しそうに、アンドレイは前方を睨む。
どうやらガストン伯という人物は、相当愚かな人間のようだ。
アンドレイの声が響き、僅かに見えていた周りの兵が、空中で静止した。
白い視界の中から、一騎がラスに近づいてくる。
それより早く、近くにいた近衛隊長が、ラスの傍らにヴォルキーをつける。
近づいてきたのは、アンドレイだった。
「王。この吹雪では、さすがにこれ以上進むわけには参りませぬ。ここは一旦、地に降りて・・・・・・」
上空なので、チーリェフに乗ったままラスに提案していたアンドレイが、突然はっとしたように振り返る。
ほぼ同時に、遠くで悲鳴のようなものが聞こえた。
「何だ? おい! 副長! 何があった?」
アンドレイが叫ぶ。
ややあって、吹雪の中から平隊士が、ヴォルキーを飛ばしてやってきた。
「隊長! 兵が! 兵が潜んでいたようです! 副長がやられました!」
「何だと?」
アンドレイが平隊士を押しのけ、首を伸ばして先を見ようと身を乗り出す。
猛烈な吹雪のため、視界ははっきりしないが、確かに先から剣戟の音がする。
「くっ! どこの兵だ? ただの探索隊を襲うなど・・・・・・」
言いながらアンドレイは、はっとしたように口をつぐんだ。
腰の剣にかけた手に、力が入る。
「・・・・・・ガストン様か・・・・・・! くそっ。此度のことは、すでに皇帝陛下に知れておるというに。捨て鉢な・・・・・・」
悔しそうに、アンドレイは前方を睨む。
どうやらガストン伯という人物は、相当愚かな人間のようだ。