エルタニン伝奇
「くっ! 怯むな! 相手は一人ぞ!!」
ガストン側の指揮官らしき兵士が、ばらばらになりつつある自軍の兵士らに檄を飛ばす。
ラスはその男に、今しがた斬り落とした誰かの腕を投げつけた。
血の噴き出す腕を胸で受け、ひ、と男の顔が引き攣る。
「一人だと? 端(はな)からお前らの狙いは、俺ってことか。全く俺も、なめられたもんだな! エルタニン国王を屠るにしては、随分お粗末な兵士じゃねぇか!」
言い終わらないうちに、ラスは血濡れの宝剣を横薙ぎに払った。
驚愕の表情を浮かべた指揮官の男の顔面が割れる。
血と脳漿が勢い良く噴き出し、ラスの身体を汚した。
「指揮官!!」
叫び声と共に、矢がラスを襲う。
その声に触発されたように、次々と矢が放たれ始めた。
「ちっ」
舌打ちし、襲い来る矢を宝剣で叩き落としつつ、コアトルを操って避ける。
蛇体のコアトルは、こういうとき便利だ。
自在に身体が曲がるため、直線的な攻撃である矢を避けることなど、わけないのだ。
「王!」
狙いはラスとはいえ、他の者には一切手出しがなかったわけではない。
襲いかかる幾人かの兵士を打ち払い、隊長がようやくラスに追いつく。
アンドレイも奮戦する己の探索隊を援護しつつ、ラスに近づいた。
「お前はサダルスウドを守れ」
「何を仰います! 王こそ、サダルスウド殿のお近くに、お退きください!」
忙しく飛び交う矢を打ち落としながら、隊長はぐいぐいと背中でコアトルを押す。
「そうですよ。ここは我々にお任せください」
アンドレイも、斬りかかってくるガストン側の兵士と斬り合いながら進言する。
ガストン側の兵士は、指揮官がいなくなったにも関わらず、果敢に斬り込んでくる。
ガストン側の指揮官らしき兵士が、ばらばらになりつつある自軍の兵士らに檄を飛ばす。
ラスはその男に、今しがた斬り落とした誰かの腕を投げつけた。
血の噴き出す腕を胸で受け、ひ、と男の顔が引き攣る。
「一人だと? 端(はな)からお前らの狙いは、俺ってことか。全く俺も、なめられたもんだな! エルタニン国王を屠るにしては、随分お粗末な兵士じゃねぇか!」
言い終わらないうちに、ラスは血濡れの宝剣を横薙ぎに払った。
驚愕の表情を浮かべた指揮官の男の顔面が割れる。
血と脳漿が勢い良く噴き出し、ラスの身体を汚した。
「指揮官!!」
叫び声と共に、矢がラスを襲う。
その声に触発されたように、次々と矢が放たれ始めた。
「ちっ」
舌打ちし、襲い来る矢を宝剣で叩き落としつつ、コアトルを操って避ける。
蛇体のコアトルは、こういうとき便利だ。
自在に身体が曲がるため、直線的な攻撃である矢を避けることなど、わけないのだ。
「王!」
狙いはラスとはいえ、他の者には一切手出しがなかったわけではない。
襲いかかる幾人かの兵士を打ち払い、隊長がようやくラスに追いつく。
アンドレイも奮戦する己の探索隊を援護しつつ、ラスに近づいた。
「お前はサダルスウドを守れ」
「何を仰います! 王こそ、サダルスウド殿のお近くに、お退きください!」
忙しく飛び交う矢を打ち落としながら、隊長はぐいぐいと背中でコアトルを押す。
「そうですよ。ここは我々にお任せください」
アンドレイも、斬りかかってくるガストン側の兵士と斬り合いながら進言する。
ガストン側の兵士は、指揮官がいなくなったにも関わらず、果敢に斬り込んでくる。