エルタニン伝奇
第二章
前代未聞の即位から半年。
エルタニン王国国王・ラスは、執務室の窓を開け放って、バルコニーの寝椅子でまどろんでいた。
彼の足元には、大きな蛇が、寝椅子をぐるりと取り巻くように寝そべっている。
蛇は何かに気づき、ぴくりと目を開けると、ふわりと宙に浮いた。
開いた目は、ラスの腰にある宝剣の柄の宝石と同じ、サファイアの青。
ラスのコアトルは、威嚇するように部屋に入ってきた少女に向かって、ちろちろと忙しなく二股にわかれた舌を出した。
「何の用だ」
目を閉じたままのラスが、不機嫌そうに言う。
目も開けていないし、顔も背けているが、明らかに不機嫌そうなその言葉は、紛れもなく部屋に入ってきた少女に向けられたものだ。
少女はちょっと、悲しそうな顔をした。
もうすぐ十七になるラスよりも、もっと幼いような、大きな目の少女は、ラスの即位時に決められた、王専属の巫女である。
もっとも神殿を毛嫌いしているラスが、諾々と巫女をつけられることに従ったわけではないが。
エルタニン王国国王・ラスは、執務室の窓を開け放って、バルコニーの寝椅子でまどろんでいた。
彼の足元には、大きな蛇が、寝椅子をぐるりと取り巻くように寝そべっている。
蛇は何かに気づき、ぴくりと目を開けると、ふわりと宙に浮いた。
開いた目は、ラスの腰にある宝剣の柄の宝石と同じ、サファイアの青。
ラスのコアトルは、威嚇するように部屋に入ってきた少女に向かって、ちろちろと忙しなく二股にわかれた舌を出した。
「何の用だ」
目を閉じたままのラスが、不機嫌そうに言う。
目も開けていないし、顔も背けているが、明らかに不機嫌そうなその言葉は、紛れもなく部屋に入ってきた少女に向けられたものだ。
少女はちょっと、悲しそうな顔をした。
もうすぐ十七になるラスよりも、もっと幼いような、大きな目の少女は、ラスの即位時に決められた、王専属の巫女である。
もっとも神殿を毛嫌いしているラスが、諾々と巫女をつけられることに従ったわけではないが。