花夢
彰 何ででてくんないの〜?俺部屋行ったよね?
美桜 ……
俺らは二人の横を通り過ぎようとしていた。
彰 わかってる?美桜。お仕置きだよね?
拓海 ……?
ちらっと美桜の顔が見えた。
悲しそうで淋しそうで何かに怯えた表情。
決して嬉しそうではなかった。
彰 …乗れ。…帰るよ…。
男は前の運転席に乗り込んだ。
拓海 美桜っ…
呟いたはずの声は彼女の耳に届いたのだろう。
美桜 ……っ
美桜はおもいっきり顔を背けて車に乗り込んでしまった。