いけない保健教師〜気になる不良転校生〜
「録音機能が役に立ったわ」


フッと春田が不適な笑いを浮かべると、


「お、覚えてろよ!」


と、教師らしからぬ捨て台詞を残し、“ゴリラ”は保健室を逃げ出していった。



「徹也、大丈夫?」


春田は徹也に駆け寄り、“ゴリラ”に殴られた頬をそっと撫でた。


「何ともないよ。それより、美沙子の携帯に録音機能が付いていて助かったな?」


「あら。携帯って、録音できるものなの?」


「え?」


「えへへ」


「美沙子、おまえ、さいこう……」


と言いかけたところで、徹也は静かに目を閉じると、ガクッと崩れ落ちた。


春田は咄嗟に徹也を支えようとしたが、春田の力では支え切れず、まるでスローモーションでも見ているように、徹也の体はゆっくりと床の上に横たわるのだった。
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