いけない保健教師〜気になる不良転校生〜
春田は徹也の頭を動かさないようにし、頬をピタピタ叩いて徹也の名を何度も呼んだが、徹也は目をつぶったままピクリともしない。


「う、嘘……
徹也…、目を開けてよ?
冗談でしょ? 徹也……

いやーっ!!」


春田の悲痛な叫びが、保健室にこだました。



春田の通報で救急車が到着すると、春田は救急隊員に徹也は頭部に問題がある事を告げ、なるべく頭を動かさないように指示をした。

救急隊員は、白衣を着た養護教諭の春田の指示に従ってくれた。

そして春田は脳外科のある総合病院か大学病院へ徹也を搬送するよう頼むと、自らも救急車に乗り込んだ。


念のため酸素吸入をしているが、呼吸と心拍に異常はない。ただ、意識が全く戻らない状態だ。


春田は徹也の手を握りながら、無理矢理にでも徹也を病院へ行かせるべきだったと、激しく自分を責めるのだった。
< 145 / 160 >

この作品をシェア

pagetop