いけない保健教師〜気になる不良転校生〜
「あ、だったら違う薬出すから、それを飲んでもう少し休んでいって?」


「もういいよ。…これ以上授業に遅れたくない」


後半は呟くように言った徹也だったが、春田はしっかり聞き取っていた。
東高でもずば抜けた秀才だった徹也の、片鱗を垣間見た思いがした。


「じゃあ」と言って保健室を出て行く徹也。


「待って。薬出すから…」


春田が棚に沈痛剤を取りに行く間も、徹也はスタスタと歩いて行ってしまう。


さっき徹也に飲ませたものより効き目の強い鎮痛剤を3回分手に取ると、春田は急いで徹也の後を追った。


廊下に出て徹也に追い付くと、春田は後ろから徹也の腕を掴んだ。


「待って、って言ってるのに…」
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