Escape from the DEAD
「く…!」

泣き言を言って蹲る男を引っ張っていこうとする要。

だが。

「止せ」

紅が要を引き止めた。

「二階堂先輩っ…でもっ…!」

「この先何人もああいう奴に出くわすだろうが…それら全部をお前に助けられるのか?相沢」

紅は厳しい眼差しを要に向ける。

「人間は全てを救えるほど万能じゃない。そして他人の全てを背負えるほど強くもない…こういう状況下で見捨てざるを得ない事は、罪ではないんだ…割り切れ、相沢」

「……っっ…」

紅の言葉に、要はただただ己の非力さを悔やむしかなかった。

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