Escape from the DEAD
そんな時だった。

「!?」

要達の後方、大通りを走って、大勢の群衆が逃げてくる。

「来た!来たぞぉっ!ゾンビが押し寄せてくるぞぉっ!」

それは襲撃してきたゾンビから、必死になって逃げる人々だった。

形振り構っていられない。

他人の事を気にする余裕もない。

皆、必死の形相で走る。

その人の波は要達をも飲み込み。

「っあ!」

逆らえない人の勢いが、芹を巻き込んだ!

「お、おいっ、来生!」

「ち、ちょっと!通して!そこ退いて!通してってば!」

何とか人波を掻き分けて進もうとする芹だったが、身長がそれ程高くない彼女では、人混みの中は進めない。

為す術もなく。

「来生ぃっ!」

人波に飲まれ、芹は要達と離れ離れになってしまった。

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