Escape from the DEAD
「ちょっと!ちょっとっ!ちょっとぉっ!」

自分の意思とは関係なく、人の流れに飲み込まれてどんどん要達と遠ざかってしまう芹。

パニックを起こして逃げる群衆は、芹の声になど聞く耳持たない。

ようやく人混みから抜け出す頃には。

「相沢君!二階堂先輩!」

芹はたった一人だけ、随分離れた場所に来てしまっていた。

大きな車道の脇を通る歩道。

そこら中の建物は破損し、窓が割れ、血痕が付着している。

まるで戦争真っ只中の市街地だった。

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