Escape from the DEAD
とりあえずトボトボと。

芹は人混みに押し流された方向を遡っていく。

今は誰もアテに出来ない、頼りにできない。

何をするにも自分の判断だし、ゾンビに出くわした時も自分で身を守るしかない。

頼れるのは、辛うじて取り落とす事なく持っている箒だけだ。

「……」

要と一緒にいる時はあんなに頼もしく思えた箒。

剣か槍かにさえ思えた箒が、今では只の棒切れにしか感じられない。

改めて思い知らされる。

頼りになっていたのはこの箒ではない。

仲間と一緒にいるという安心感。

要や紅が守ってくれているという信頼感だったのだ。

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