Escape from the DEAD
ゾンビ一体や二体が相手ならば芹一人でも何とかなるだろうが、もし徒党を組んで押し寄せてきたら…。

想像するだけで寒気がする。

早く要達と合流しないと。

少なくとも誰か頼りになる人間と一緒にいないと…。

脅えた表情で歩いていた芹は。

「あ」

見慣れた建物に一瞬笑みを浮かべる。

交番。

言わずと知れた、警察官が詰めている場所だ。

せめて要達と合流できるまでの間、あそこで匿ってもらえれば。

「あのっ、すみません」

芹は交番に駆け込む。

「どなたかっ、どなたかいませんかっ?」

彼女の呼びかけに、返事を返す者はいない。

…交番の机や壁、床にも、夥しい量の血痕が残されていた…。

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