Escape from the DEAD
「すまない…」

要を怒鳴った後、紅は自分から彼に詫びる。

「イラついている場合ではなかったな…」

「い、いえ…こちらこそ」

紅が何とか機嫌を直してくれたからいいものの、要には彼女が怒った理由がわからない。

紅もまた、苛立っていた理由を要には明かさない。

微妙な気まずい空気が二人の間に流れるが。

「急ごう。確かに相沢の言う通り、夜になってしまうと合流は難しい」

今度は紅が率先して動き始めた。

「来生は非力なんだ。私達が守ってやらないとな」

紅のその言葉は、どこか自嘲しているかのように聞こえた。

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