Escape from the DEAD
要達は何とかゾンビの群れに対して抵抗を続けるが、何しろ数が数だ。

加えて木刀や金属バットといった鈍器では、多くのゾンビを相手する事が出来ない。

足元には次第にゾンビが押し寄せ、今にも掴まれて引き摺り下ろされそうだ。

「要っ、弾が…もう弾がないよっ」

交番で入手してきた拳銃の弾丸も、あと数発を残すのみとなった。

この弾丸がなくなれば、芹は丸腰になってしまう。

「言いたくはないが、確かにやばいな…」

紅も血糊でドロドロになった木刀を握り締めたまま呼吸を乱す。

血の匂いと腐臭でむせ返るような空気。

要は頭がおかしくなりそうだった。

眼下には数え切れないほどのゾンビ。

行く事も戻る事もできなくなった。

このまま立ち往生して、いずれはあの亡者の群れの中に引きずり込まれてしまうのか。

絶望感に苛まれる。

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