Escape from the DEAD
小さいなどとんでもない。

芹が見る限り、この屋敷には数十人の組員がいるようだった。

如何にもな出で立ちの強面ばかりで、刺青の入っている者も少なくない。

いわゆるヤクザという連中だ。

だが、そんな連中がどうして要達を助けたのか。

「別におかしかねぇだろ」

老齢の男…組長は煙草を咥えて火を点ける。

「外で銃声がしたんで見てみたら、お前ら三人が化け物に囲まれて難儀してた。だから助けた。幸い俺達にゃあ拳銃(ハジキ)も刃物(ヤッパ)もあるんだ。それだけのもの持ってて見殺しなんて、仁義に欠けるだろ?そう思わねぇか?」

彼らヤクザにも、一般市民を食い物にして私腹を肥やすものと、義理人情や仁義に厚く堅気には決して手を出さないものの二通りがいるという。

どうやらこの組長は後者のようだった。

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