Escape from the DEAD
僅かな時間、射撃を試していた紅だが。

「駄目だな」

彼女は銃口を下げる。

「私には射撃は向かないようだ。どうも狙いが定まらないし、遠くから狙い撃つというのは性に合わない」

「まぁ向き不向きがありますもんね」

苦笑いしながら要がフォローする。

と。

「じゃあ私がやります」

紅の手から芹が銃を受け取った。

「私は『遠くから狙い撃つ』のが性に合ってますから」

その表情はどこか憮然としている。

紅の発言を、拳銃を使っていた芹に対する当て付けと受け取ったのだろうか。

『離れた所から一方的に狙撃するのは卑怯者』という嫌味だと。

勿論紅はそんなつもりはないのかもしれないが。

「……」

紅は何も言わない。

弁解すらしない。

紅と芹、二人の溝は深まるばかりだった。

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