Escape from the DEAD
「ならば」

紅が迷わず手を伸ばしたのは日本刀だった。

「私は銃はどうも向いてなさそうだからな。こういう分かりやすい武器の方がいい」

鞘と柄に手をかけ、スラリと抜刀してみる。

表情が映り込むほどに磨き抜かれた刃は、紅の顔にその光を反射させた。

無銘だが、相当な業物の印象を受ける。

「い、いいのかな…」

戸惑いつつも要が手に取ったのはトカレフ。

困惑しているとはいえ、彼も男だ。

こういう銃器に興味がないといえば嘘になる。

ずっしりと重みを感じさせる実銃。

危険な凶器と分かってはいるが、その重みは要の心を昂揚させた。

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