Escape from the DEAD
芹と同じように、下の名前で。

それは紅なりの、芹に対する対抗意識という事だろうか。

つまり紅も、要の事を…。

「いっ、いや!深い意味はないぞ?ただ来生の言っていた、どうせ協力していくのだから親しくなった方が協力しやすいというのも一理あると思ってな!」

要に勘繰られるのを恐れたのか、紅は一人でまくし立てる。

「で、でも…下の名前で呼ぶっていっても、二階堂先輩は年上ですし…」

トカレフに視線を落としたまま、困惑する要。

「そ、そうだなっ、でも…」

いつも毅然として、凛とした態度の紅が狼狽する。

微かに頬が赤いように思える。

「別に年上だ先輩だなどと、気にしなくていいのだが…な…」

「……」

後頭部を掻き、尚も困惑しながら。

「わかりました、にか…紅さん」

ぎこちなく要は言った。

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