Escape from the DEAD
ヘソを曲げてしまった芹は仕方なくそのままに、要と紅は準備された寝室へと向かう。

念の為に言えば、男女別室だ。

「運が良かったな」

屋敷の廊下を歩きながら紅が呟く。

「え?何がですか?」

「だってそうだろう。学校からこっち、私達はずっとゾンビの群れに襲われ続けていたんだ。分断されたり、はぐれたりしながらな。時には完全に包囲されて逃げ場を失った事もあった。それでも…」

紅が艶やかな黒髪を掻き揚げる。

その仕草は、要をハッとさせるに十分な色香を醸し出していた。

「私達三人は誰一人欠ける事なく、こうして畳の上で寝床にありつこうとしている。運がいいよ、私達は」

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