Escape from the DEAD
「確かに…」

紅の言葉に要も頷く。

あれ程の過酷な状況から傷一つ負わずに生還できた。

尤も、ゾンビ相手に傷を一つでも負うという事は既に死を意味するのだが…それでも三人が三人とも生きてあの濃密な一日を終える事が出来たというのは、奇跡と言ってもいいかもしれない。

「紅さんが先頭に立って俺達を導いてくれたお陰ですね」

「何を言う。最初は甘ちゃんだと思っていたが、要の判断が正しかったからこそ、私達は全員無事でいられた」

要にそう返す紅の言葉は、世辞でも何でもない、心からの彼に対する評価だった。

「信頼に足る男だよ、お前は」

「その言葉、そっくりそのままお返しします、紅さん」

要も紅を真っ直ぐ見返して告げた。

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