Escape from the DEAD
気のせいだろうか。

小川の声は震えているようだった。

「この災害が起きてから…我々自衛隊は何も出来ていない。国民を守るのが我々の義務…しかしゾンビどもの発生で自衛隊そのものの指揮系統は混乱麻痺し、国民を守るどころか自分達の身の安全を守るのが精一杯…鍛えられ、武器を持つ我々でさえそうなのだ。無力な一般市民がどれ程犠牲になった事か…」

決して小川達の落ち度ではない。

誰も予想し得なかった、誰も対処などできる筈のなかった災厄。

それでも彼は自分を責める。

もっと何とか出来たのではないかと。

国防の中心である自分達が、もっと助ける事が出来たのではないかと。

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