Escape from the DEAD
何か格闘技でもやっていたのだろうか。

紅の動きは実に洗練されている。

相手は複数、しかも半端な数ではないというのに、それをいささかも恐れる事なく的確な判断と身のこなしで捌いていく。

普段からこういった修羅場に身を置いていなければ、なかなかできない動きだ。

後からついてくる要と芹は、紅が仕留め損なったゾンビの頭部にキッチリトドメを刺すだけでいい。

安全と言えば安全。

しかし。

「二階堂先輩!」

要が呼びかけるが、紅は返事すらしない。

喧嘩慣れして、強いのは結構だが、一人で先行しすぎている。

何かあった時、要や芹がフォローしてやる事が出来ないほど、紅は自分勝手に進んでいた。

< 48 / 241 >

この作品をシェア

pagetop