Escape from the DEAD
「気にする事はない」

紅は微かに笑みを浮かべる。

思えば彼女の笑みを見たのは、これが初めてかもしれない。

「相沢はフェミニストなのか?それも結構だが、私に木刀を渡すという事は『お前が先頭に立って俺を守れ』と言ってるようにも見えるぞ?」

「いっ、いえっ、そんなっ!」

慌てる要。

「あらあ?だったら」

芹が悪戯っぽく要の顔を覗き込んだ。

「私にこの箒を渡したのも、そういう意味だったのかしらぁ?」

「まいったな…勘弁してくれよ二人とも…」

意地悪くからかわれて、要は頭を掻いた。

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