Escape from the DEAD
仕方がない。

要は方向転換して校舎出口の前で曲がる。

ゾンビの数の少ない別ルートを選んだのだ。

ここで群れをやり過ごし、改めて学園の脱出を図る。

…チラリと、彼は背後を振り向いた。

校舎の中から聞こえてくる、紅と芹の声。

ゾンビ達の呻きに掻き消されて、今にも飲み込まれてしまいそうだった。

戻って加勢したいのは山々。

だが、それでは三人共倒れになってしまう恐れもあった。

紅と芹の心遣いを無駄には出来ない。

歯噛みしながら、要は迷いを振り切って走り始めた。

< 79 / 241 >

この作品をシェア

pagetop