勇者様?!
それ以上は聞けなくて、その場を静かに去った
路地からは、下品な馬鹿笑いが聞こえる
聞きたくなかった
聞かなきゃよかった
その噂は、あっというまに村中に広がった
もちろん、ラズリの耳にもメノウくんの耳にも入った
「お姉ちゃん!あんなの、噂だよ?!気にしちゃダメだからね!」
ラズリが必死に言う
「うん…大丈夫だよ?」
嘘ばっかり口から出る
大丈夫じゃない
もう心はズタズタだ
ただの噂ならいい
でも、違う
何回も、何人もの人が目撃していたんだ
ヒスイが姫様と仲良くするところを
それは、色々
腕を組んで歩いていたとか
抱き合っていたとか
私の耳に入るたび、心は弱っていった
ヒスイを信じる気持ちも弱っていった