天使の涙


「あぁ、これか…。こんなの捨ててくれても良かったのに……」



そうかっこよく言ってみたけど、このお守りは、ばあちゃんの形見だったからいっつも持ち歩いている大切なものだ。



「いえ、これは岩瀬君のものだからお返しします。では、失礼しました」



そう言って上村は後ろを振り向き帰ろうとした。



一応、お礼言った方がいいよな……



俺は上村に駆け寄り彼女の耳元で



「ありがとう」と小さな声で言った。



彼女は顔を真っ赤にしてペコッと頭を下げて屋上を後にした。



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