ダイキライ。


パンを一口かじると、ふいに甘い匂いがした。

いや…甘いって言ってもスイーツとかの匂いとは又違うが。


その匂いが誰から放たれているのが大体予想はついていた。


……っていうか此処に“そいつ”しか居ねえし。


視線を金髪野郎に向けると茶色の煙草に火を灯していた。


煙草だったのか…と心で呟く。

昔から煙草って臭いイメージしかなかったけど、こんな甘い匂いがする煙草もあるんだな。嫌だとは思わなかった、寧ろその香りが心地良い。



「なに見てんの?」

煙を口から吐き出すと私と目が合ったのかそれを口にした。


「別に……っていうか、校内で煙草吸うなよ。」


………あれ

注意の仕方間違ったかな。


普通なら“未成年が煙草吸うな”って注意するだろう、言った後に何となく後悔する。


「……仕方ないだろ、吸いたいんだから。」


そう言われると言葉を無くす。……なら仕方ないか、って思ってしまう私は多分、こいつのペースに流されてるんだろう。


「中毒者だな…」


「……みたいだな。」

他人事のように返答する。


みたいだな、じゃなくてそうなんだよ!と突っ込みをいれたかったが、一応これでも先輩なんで遠慮してみる。

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