水色王子とピンク姫
「誘拐されたこと、あたしは別に気にしてない。逆に雪佳にありがとうって言いたい」
「……なんで」
「あたしのこと、大事にしてくれてたんでしょ?」
記憶が戻らないように。
あたしがつらい思いしないように。
「でも……。あたしは雪佳がいない方が苦しいよ……っ」
涙のせいか視界がぼやける。
今、雪佳はどんな表情なんだろう。
「春……」
気が付けば雪佳があたしを抱きしめていた。
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